鳥獣被害を減らし、
そしてしっかりいただくため。
私は山里で猟師をしながら、ジビエカフェを運営しています。
6年ほど前に猟師免許を取得し、普段は山里へ鳥獣被害を減らすため狩猟に行き、
駆除した動物を美味しいジビエ料理として、提供しています。
命を奪う罪悪感との葛藤
豊田市は猪や鹿といった鳥獣被害が年間でなんと約1億2,000万円もの発生があり、地域、農家さんにとっては大きな問題となっています。
私は数年前、この山里で走る猪に遭遇し、地元の方が「荒らす猪を獲ってくれればな…」というつぶやきを聞き、私は猟師になると決意しました。
そして散弾銃を使用できる第一種狩猟免許を取得し、猟友会に入ってこの地の有害鳥獣の駆除に関わりはじめました。
しかしいざ、命を奪うとなると恐怖や罪悪感があります。忘れもしないはじめての狩りは脳裏に焼き付いているほど。
でもこれも「被害を少しでも減らすため」と、私は多くの方からの声に押していただけることもあり、年間100匹ほどの鳥獣を狩猟し続けています。

駆除鳥獣の命をもっと大切に、無駄にしないため。
では駆除した動物たちはどうなるのでしょうか?
実は全国で見ると約9割は埋設されている現状なのです。
私は「たとえ悩みである鳥獣でも、美味に変化させることができたら…」と、元々調理師免許を持っていたこともあり、狩猟した動物たちを素早く解体できるよう解体所を設けた、最後まで美味しく頂けるジビエ料理提供のカフェをはじめました。
様々な調理を研究し、あらゆる鳥獣の美味しい食べ方を見つけ、提供しています。
店名にもある「Mui」は自然のまま、ありのままという「無為」から命名しました。
皆様にも、食べることから山里の現状に目を向けて頂けたらと思います。
奪っていい命があるわけではないです。
人の生活を守るためにいただく命があります。
そんな「命の大切さ」に感謝をしながら。


猟師として、店主として。

スーパーなどに行けば、肉も魚も買えます。
鳥獣に限らず誰かが命を奪って私たちは食べています。
ならば獣の肉だろうときちんといただこう、そう想いながら食べることが責任だと思っています。
そして美味しく調理して食べることができるということを少しでも知っていただく活動を続けていくことが、猟師、店主しての想いです。
清水潤子
カフェMuiのこだわり
築約150年の古民家特有の柱や梁を残しつつリノベーションした当店は、非日常空間を感じてもらえる店構えです。
自然があるこの山里に色んな方が自然に集まり、あるがままの今をゆっくりと感じてもらえるカフェであれたらと思います。
ジビエの処理は時間勝負。1時間以内に解体処理をしないとガスが溜まり、肉に臭みがついてきてしまいます。 店舗の横に解体施設を設け、駆除した動物をより迅速に活用できるようにしています。

商品企画などの取り組み
今後は鹿の肉を乾燥させてジャーキーとして犬用ペット商品にしたり、商品化をする取り組みを積極的に行っています。
現在では障がいのある人のお仕事創出と工賃向上への挑戦を通して、猪や鹿肉の新たな流通を目指して埋設率の低下にも繋げていきたいと考えています。
